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ロレックス ヨットマスター 37 Ref.268655 エバーローズゴールド

2024/09/20

ヨットマスターの歴史 Rolex Yacht-Master

ヨットマスターは、その名称の通りヨットやクルーザーを嗜み、ビーチリゾートを楽しむセレブリティをターゲットに、1992年に開発された高級モデルであったが、その属性上、当初はステンレスモデルが存在せず、金無垢のイエローゴールドのみであり、かつロレックス スポーツモデルとしては唯一、Ref.16628 40mm メンズ、Ref.68628 35mm ボーイズ、Ref.69628 29mm レディースの3サイズが展開されたこともあり、ペアウォッチとして人気の高いモデルであった。

ロレックスにおける「ラグジュアリースポーツモデル」として人気の高かったヨットマスターは、1997年にボーイズ・レディースモデルにステンレスと18KYGを組み合わせたコンビモデルが登場したが、2年ほどで生産中止となり 1999年には、ステンレスとプラチナのコンビモデルとなる通称「ロレジウム」(Ref.16622)が登場したことで、一躍ヨットマスター人気が過熱することとなる。

同時期にケースサイズ 35mm のRef.168622 が発表されることになるが、サイズ的にメンズでもレディースでも着用可能なユニセックスサイズであることと、優雅さの象徴ともいえるプラチナ素材を使用したことにより女性層の人気が高いモデルとなった。

その後、2012年のバーゼルワールドで発表された“Ref.116622”では、バックルにベルト径をワンタッチで 5mm 延長可能とする“イージーリンク”を搭載し、ムーブメントは前モデルと変わらない Cal.3135 を搭載しているが、ヒゲゼンマイには耐衝撃性に優れた“ブルーパラクロム”を使用し、現在でも人気の高いブルー文字盤が採用されたのもこの時期であった。

人気の高いロレックス ヨットマスター の青文字盤だが、追加されたのは上記の通り 2012年の Ref.116622 からであるが、香港ロレックスで限定製造された Ref.16622 に青文字盤モデルが存在し、50本の限定品ということもあり高値で取引されている。

2007年には、ヨットレースに特化した機能である“レガッタ・クロノグラフ”を搭載した ヨットマスターⅡ Ref.116688 / Ref.116689 を発表。
“レガッタ・クロノグラフ”はムーブメントと連動したベゼルを利用して、10分から1分までをカウントダウンで知らせるクロノグラフに似た機能である。

当初の ヨットマスターⅡは、モデルのコンセプトである「ラグジュアリースポーツモデル」を継承し、金無垢(イエローゴールド・ホワイトゴールド)のみで製作されていたが、2011年にはステンレスとエバーローズゴールド(ピンクゴールド)のコンビモデル、2013年にはオールステンレスモデルが発表され、操作性や機能はもとより、ヨットレースにおける実用性が高いフラッグシップモデルとして確立されたといえる。

2015年から、ラバーストラップである“オイスターフレックス”を採用し、エバーローズゴールド(ピンクゴールド)ケースと組み合わせた Ref.116655 が登場し、スポーツモデルでありながら絶妙な色合いと質感が魅力の、今回紹介する Ref.268655 のデザインに繋がっていくこととなる。

ロレックス ヨットマスター 37 268655

先にも述べたが「ラグジュアリースポーツモデル」という位置づけのとおり、ドレッシング要素を兼ね備えた本モデルは“エバーローズゴールド”という嫌みのない高級感のある色合いと質感、ケースサイズ 37mm という時計が主張しすぎないサイズ感であり、黒いベゼルと“オイスターフレックス”の組み合わせがビジネスやフォーマル、ドレス要素を問わずマッチするモデルといえる。

同モデルから採用された“オイスターフレックス”は、チタンとニッケルの軟性合金ブレードをエラストマー(人工ラバー)で覆った構造で、合金を使用されているとは思えないほど動きは滑らかで装着感も申し分ない。

さらにいえば、ラバーである以上、汗や水分によるヒビ割れや経年劣化による変形、硬化などが気になるところだが、5年経過しても劣化現状は起こらないようで、オイスターフレックスの内側には、ロレックスが特許を取得した“縦方向クッションシステム”が備わっており、重量のある金無垢時計であっても装着を安定させる工夫が凝らされている。

また“合金”といえば エバーローズゴールド(ピンクゴールド)も金とプラチナ、銅などの合金であり、本来“銅”は変色しやすい金属であるが、変色しにくい“プラチナ”を1.5~3%配合したといわれるロレックス独自のレシピで“永遠(エバー)”の輝きを維持する、妥協のない高級感あふれる時計となっている。

搭載されているムーブメントである Cal.2236 は、5つの特許を取得しており、機械式時計の日付け変更の常識であった“早送り禁止時間帯”がなくなり、利便性が向上しただけでなく、パワーリザーブは55時間、ヒゲゼンマイにはシリコンとシリコン酸化物の化合物である半金属“シロキシ・ヒゲゼンマイ”を採用したことにより、磁気の影響を受けづらく温度変化にも強いことがあげられ、耐衝撃性においても一般的なヒゲゼンマイと比べて10倍以上の強度を誇るといわれている。

時計の心臓ともいわれる“テンプ”にも、パラフレックスと呼ばれる耐震装置(ショックアブソーバー)を採用し、変形や衝撃にも強い耐性を持っており、Cal.2236 はヨットマスター 37とデイトジャストのレディースモデルのみの小型モデルに搭載されているムーブメントであるが、ロレックス独自の特別な機能を搭載した優れたムーブメントといえるだろう。

本モデル Ref.268655 は新型のスポーツモデルで使用されている“セラクロムベゼル”とは異なり、艶のない“マットセラミック”とラバーベルト“オイスターフレックス”の相性が抜群で、無垢モデル特有の重すぎる重量感がなく、実用性を兼ね備えた“品のある”外観に仕上がっている。

そして、何といっても贅沢なのがパヴェダイヤがセッティングされた文字盤。「パヴェ」とはフランス語で「石畳」という意味があり、その名の通り文字盤にはダイヤが敷き詰められている。身につけているだけで特別な気分にさせてくれること間違いなしだろう。

37mmというサイズ感も日本人にとってはバランスの良いサイズ感でもあり、装着できる機会があれば、ぜひその存在感と装着感を試していただきたいモデルである。