グランドセイコー 44GS 55周年記念限定モデル SBGW289
2022/11/16
「桜隠し」を表現したダイヤル 44GS 55周年記念限定モデル
「桜隠し」
この言葉はあまり聞いたことがある方が少ないのではないかと思われる“ワード”だが、桜の花が咲いている(満開)ときに雪が降り、桜の花に雪が積もり桜の花が隠れてしまう状態をいう言葉だそうだ。
「桜隠し」の語源に関しては、もともと新潟(新潟県東蒲原郡東川村 現在の阿賀町)の方言だったという由来があり、セイコーの機械式モデルの製造拠点である「グランドセイコースタジオ 雫石」が位置する岩手県雫石の東北地方でも起こりうるであろう“雪と桜”が共存する季節感と情景が思い浮かぶインスピレーションを取り入れたことは流石である。
セイコーが目指してきた精度の最高峰と、世界に誇れる外観として“日本特有の美意識”の体現である「セイコースタイル」は1967年に発表された「44GS」にて確立されたわけだが、本モデルであるグランドセイコー GS「SBGW289」では、ダイヤルに雪と桜(ホワイトシルバーとピンク)が共存し、春の桜の儚く美しい情景に淡いピンクカラーをメインに用い、インデックスや針はホワイトシルバー、繊細で細かな凹凸加工が施されたダイヤル表面の輝きは降り積もった“雪”のイメージを連想させ、セイコーが目指す日本人の根底にある“日本独特の美意識”を体現した55周年に相応しいいモデルといえるだろう。
印象的なダイヤルではあるが、それ以外にもケースはセイコーが「44GS」モデルで確立したコンセプトである、日本の美意識の結晶「セイコースタイル」に重要な仕上げとなる「ザラツ研磨」がある。
「ザラツ研磨」はケースの鏡面仕上げや筋目つけの下地となる平滑な面をつくる研磨工程であるが、ケースの研磨面を研磨機に押し当てる力加減や時間スライドの速度など、すべて職人の感覚により仕上がりが左右され、面と面が鋭い稜線で接している部分を鏡面に仕上げるための「バフ掛け」工程は、研磨の特性上エッジを丸めてしまうことになるが「ザラツ研磨」の工程により「44GS」特有のシャープな造形を維持することができる。
グランドセイコー 44GS SBGW289 におけるムーブメントには「キャリバー9S64」が搭載されており、高精度な「脱進機」パーツ製造には先端技術である「MEMS」(Micro Electro MechanicalSystems)を採用しており、「MEMS」は半導体などの0.001mm単位での精度を求められる加工技術であり、セイコーのムーブメントパーツ製作にも取り入れられ、歯車の噛み合いの“あそび”すら許されない精度ともいわれている。
耐久性・耐磁性・耐衝撃性・軽量化・精度向上を確立し、スイスのクロノメーター規格から一歩先のセイコー独自の「GSS規格」(グランドセイコースペシャル)を取り入れ、マニュファクチュールとして日本が誇る時計職人の匠の技術で1/100mm単位の調整と組み上げ技術により生み出される機械式ムーブメントは世界的に見ても驚異的である。
一例を取り上げれば、日差は一日当たり±2~4秒で、一般的な誤差が±10~20秒であることを考えただけでもいかに優れたムーブメントであるかわかると思う。
「GSS規格」を達成するため、部品製造から職人による組み上げ、精度の確立と数日間にも渡る複数の検査など、時計の品質は極限まで高められており、海外の有名ブランドと比較しても、同じレベルの時計を購入するには数倍の値段がしてもおかしくなく、技術面においてもグランドセイコーは世界と渡り合える技術を持っているといえるだろう。
今回紹介する グランドセイコー 44GS SBGW289 55周年記念限定モデルは、現代の「44GS」史上最も小型となるケース幅 36.5mm、厚さ11.6mmの薄さで、日本人にとって腕なじみもよく、従来の「44GS」が持つ力強い鏡面ケースとボックスガラスの柔らかさを感じる要素に加え、ケースの小型化に合わせて新規開発したバランスの良い細めの略字と針が淡いピンクカラーの文字盤にもマッチし、55周年にふさわしいモデルとなっている。
グランドセイコーの歴史に関してはこちらの記事に詳しい
世界限定:1,200本 うち国内では 150本のみの限定販売のため“日本の美意識”を原点とした、世界に誇れる魅力あふれるブランド「グランドセイコー」モデルをぜひ一度手に取ってみてほしい。