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IWC パイロットウォッチ マーク XVIII トップガン ミラマー IW324702

2023/03/23

IWC パイロットウォッチへの軌跡

IWC パイロットウォッチ マーク XVIII トップガン ミラマー IW324702

IWCの名前はこのページに来た方であればご存じであるとおもうが、IWCとは、インターナショナル・ウォッチ・カンパニー(International Watch Company)の頭文字であり、スイスの時計メーカーではあるが1868年の創業以来、企業名は英語表記であるのはアメリカ人技師であるフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ(Florentine Ariosto Jones)がドイツ人である時計職人 ハインリヒ・モーザー(Heinrich Moser)と協力し創業したことに由来する。

スイスの時計メーカーがフランス国境に寄った西部寄りに拠点を設けるなか、ドイツ国境に近い国内北部のシャフハウゼンを拠点とし、創業当初はアメリカ市場向けに懐中時計を販売するため、ドイツ職人の「質実剛健」と評される独自の社風を持つ時計メーカーとして歩んでいくこととなる。

1915年から腕時計生産に参入し、第二次世界大戦前には手巻の Cal.83 角形手巻の Cal.87 など優秀なムーブメントを発表し、1938年の Cal.60 では現在の主流でもある、秒針を中心軸配置する「センターセコンド」前提の設計をいち早く採用し、独立したスモールセコンド型を製造していた競合各社をリードすることとなる。

IWCの転換期として、ヴァシュロン・コンスタンタン から1944年に移籍した時計技術者アルバート(アルベール)・ペラトン(Albert Pellaton)が設計した Cal.89(1946年設計)は、完成度が高く1974年まで生産されるロングセラーとなり、1946年開発(特許取得)の「ペラトン式自動巻機構」Cal.85 系(1950年設計)は、独自のラチェット動力伝達両回転型を備え、自動巻主流化の潮流にいち早く乗っている。

話は少しさかのぼるが、第一次世界大戦時では腕時計も多数使用され、作戦行動の開始時刻の共有や戦闘時に置いて重要な役割を果たすことが証明されたことで、腕時計の需要と生産が高まり、今回紹介するIWC パイロットウォッチ マークシリーズは、イギリス陸軍の「ダーティダース」へと関連していくこととなる。

「ダーティダース」とマークXI

IWC パイロットウォッチ マーク XVIII トップガン ミラマー IW324702

あまり聞いたことがないのではと思うが「ダーティダース」とは映画のタイトルで、12人の戦士が戦争を闘っていく映画で、第二次世界大戦中にイギリス“陸軍”が使用した12時計ブランドから支給された時計たちの総称であり、1945年の終戦までに約15万本の時計がイギリスに輸出、使用されたといわれている。

第二次世界大戦後の1946年頃からは空軍専用の時計が発注されることとなるが、陸軍が12メーカーから支給されたのに対し空軍は2メーカーに厳選されており、イギリス国防省が空軍専用時計に求めたスペックは

・つや消しの黒文字盤
・インデックスがアラビア数字
・白色の分表示目盛
・20フィート防水
・軟鉄製ケースによる耐磁製
・36時間パワーリザーブ
・日差が-4秒~+4秒以内
・ハック機能搭載
・スイス製のムーブメント
・センターセコンド秒針

となり、「ダーティダース」12メーカーの中で、この条件を満たす時計を製造できたのはIWCとジャガールクルトの2社のみであった。

特に選別選考のなかで重要視されたのは精度と堅牢性であり、精度は航空機の特性上、無線を使用する頻度が高く、無線の電磁波を送受信する際に磁気を帯びてしまい精度が下がる理由があげられ、堅牢性は振動が如実な戦闘機においては耐震性が求められたこととなる。

条件を満たした2社ではあるが、特に耐衝撃・耐震性における信頼性により生産期間に差が見られ、ジャガールクルトは1960年代初頭には生産中止となったが、IWCは1980年代まで生産を続けることとなる。

この逸話は以前の記事でも紹介した オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル“ムーンウォッチ” にも似たエピソードである。
気になる方はこちらの記事も見てほしい

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル“ムーンウォッチ”

マーク XVIII トップガン ミラマー

ここまで記事を読んでもらえれば、IWCとミリタリー・パイロットウォッチの由来を理解していただけると思うが、IWCのマークシリーズは1994年のマーク一XIIより民間向けに販売されており、2016年に発表されたマークXVIII IW324702 は、映画「TOP GUN」とのコラボレーションモデルで“ミラマー(Miramar)”はアメリカ海軍戦闘機搭乗員養成機関(通称TOP GUN)のある、カリフォルニア州ミラマー海軍航空基地にちなんだものである。

マークXVIIIシリーズは、いくつかのモデルが存在するが、今回紹介する IW324702 は他のシリーズとは異なり、飛行要員用時計のデザインを追求し、文字盤外周部のチャプターリングは分と秒の目織りのみとし、時間表示は内側の赤いリングに印字されていており、徹底的な視認性・認識性を優先している。

IWC パイロットウォッチ マーク XVIII トップガン ミラマー IW324702

ケースは耐磁製に優れたセラミック・チタンを使用し、セラミックは傷に強いだけでなく高級感を演出する素材でもあるので長く良い状態を保ちやすい。

また、ケース内部には磁力を遮断する軟鉄製インナーケースを備え、パイロットウォッチにふさわしく、両面反射防止加工されたサファイアガラスは急激な気圧変化にも対応可能な6気圧防水機能となっている。

ストラップベルトは、ナイロン製のミリタリーテイストあふれるカーキグリーンとなっており、ケースカラーのダークグレーと相まって、高級感とミリタリーテイストを両立したIWCならではの一本と言えるだろう。

余談ではあるが、IWCは年代を問わず、創業から販売してきた全ての時計に対し、修理やメンテナンスを受け付けている。

このような永久修理保証を実施しているメーカーは、IWC以外に、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタン、ジャガールクルトの5社しかなく、既にパーツが存在しない古い時計でも、当時の設計図を用いた対応が可能なことは、IWCが優れた時計メーカーであることの証明であり、今回紹介する マーク XVIII トップガン ミラマー も、厳しい軍隊の基準をクリアしてきた系譜を受け継いでいることであろう。