GIRARD-PERREGAUX ジラール・ペルゴ ロレアート 81005-11-131-11A
2024/11/28
ジラール・ペルゴの“ロレアート”
ジラール・ペルゴ(Girard-Perregaux GP)は、1791年創業の、世界で4番目に古い歴史を持つ老舗時計メーカーであり、自社一貫生産する高級時計メーカー(マニュファクチュール)として、時計愛好家には「GP」(ジーピー)の名称で親しまれており、日本で最初に正規輸入されたスイス時計として日本と関わりの深いメーカーでもある。
“ロレアート”の初代モデルは1975年となり、その名称は俳優である「ダスティン・ホフマン」を一躍スターにした青春映画“卒業”(イタリヤ語“Laureato”「資格を有するもの」の意)から取られたモデル名となっており、初代“ロレアート”の評価を高めたのは自社開発のクォーツムーブメントを採用したことによる。
1969年に「ジラール・ペルゴ」はクォーツムーブメントの電子モーターの特許を取得し、1971年には、現在の国際規格である 3万2768Hz 振動のクォーツムーブメントを確立し、高精度の証である「ヌーシャテル天文台」証書を取得するに至るが、1969年12月に日本の時計メーカーである「セイコー」が発表した世界初のクォーツ腕時計“アストロン”から始まった、いわゆる“クォーツショック”により「ジラール・ペルゴ」は経営危機に陥ることとなる。
“クォーツショック”による危機はあったものの“ロレアート”は進化を続け、H型ブレスレットの採用や90年代以降の自動巻きムーブメントへの回帰、デザインシルエットの改良や機能ラインナップの拡充などを経て、1995年には“ロレアート”の第二世代である“ロレアート 8010”を発表し今回紹介する“ジラール・ペルゴ ロレアート”81005-11-131-11A は同第二世代を想起させるデザインとなっている。
“ジラール・ペルゴ ロレアート”81005-11-131-11A
“ジラール・ペルゴ ロレアート”81005-11-131-11A は“ロレアート”モデルの象徴でもある円と八角形を重ねたベゼルはそのままに、円の部分はポリッシュ仕上げ、八角形のベゼルの上面はサテン仕上げ(艶消し)、側面はポリッシュ仕上げ(艶有り)と交互に光の反射の強弱をつけることでエレガントな印象を与える。
ケース一体型のブレスレットはなめらかなラインでセンターをポリッシュ、ケースのサテン仕上げとブレスの稜線は共に“ポリッシュ仕上げ”することで立体感がうまれ、面取りも兼ねた“ポリッシュ仕上げ”により装着感に違和感がなく、プッシュ式のフォールディングバックルは日常の着脱にも満足感を与えてくれる。
文字盤は“クル・ド・パリ”装飾を採用しているが“クル・ド・パリ”の技法は“ギヨシェ”加工の一種で、指輪や時計のベゼルなどにも使用例がある手法だが、「パリの爪」といわれるピラミッドが規則的に配置された意匠の技法であり、発案者は“ブレゲ”で、長い伝統を持ち光の当たる角度により表情を変える効果があるが、光の反射を抑えて文字盤の視認性を高める役割もあり、ベーシックな3針ではあるものの幅広の時分針とインデックスにより抜群の視認性を確保している。
ムーブメントは、Cal:GP03300-0030 が搭載され 218 個の部品で構成されており、シースルー ケースバックからは“コート・ド・ジュネーブ装飾”のローターを見ることができる。
機械式時計の聖地であるスイスは、16世紀から発生した宗教戦争の迫害を逃れたフランス人が移住したことで、時計産業の礎を築いたわけだが、ジュネーブでは金製品加工が盛んでその過程で誕生したのが“コート・ド・ジュネーブ装飾”(一説ではスイス ジュネーブ北部の“レマン湖”の波をイメージし“ジュネーブ・ストライプ”ともいわれる)で、1990年代に機械式時計ではシースルーケースバックモデルが数多く登場し、地板やローターに“コート・ド・ジュネーブ装飾を施すメーカーもあったが、ムーブメントが見れなかった時代であっても装飾を実施することが一流ブランドの証とされ、本モデル Cal:GP03300-0030 のローターに刻印された“Manufacture GIRARD・PERREGAUX”の刻印からは“ジラール・ペルゴ”のマニュファクチュール(自社一貫生産)への誇りが読み取れる。
“ジラール・ペルゴ”は、その伝統でもある“手仕上げ”と数少ないマニュファクチュール時計メーカーということもあり、時計愛好家はもとより、著名人にも愛される時計メーカーで、お笑い芸人である ケンドーコバヤシ は“ジラール・ペルゴ”創業225周年記念のヘリテージ・ロレアート 225本限定 81000-11-131-11A を所有しており、彼以外にも、上田晋也 水谷豊 なども“ジラール・ペルゴ”愛好家である。
ロレックスやオメガなどの著名メーカーほど知名度は高くないものの、長い歴史のなかで培われた“腕時計”に対するこだわりを、文面ではなかなか理解することは難しかもしれないが、もし“ロレアート”に触れる機会があればぜひ装着してみてほしい。
腕にフィットする装着感や負担にならない重さ、立体的な造形を感じられる存在感と年代やシーンを問わないデザインを感じてもらえれば“ジラール・ペルゴ”が時計愛好家に一目置かれる理由も納得できるのではないだろうか。