BREITLING ブライトリング スーパーオーシャン ヘリテージ B20 オートマチック 44 AB2030121B1A1
2022/12/15
ブライトリング パイロットウォッチへの軌跡
ブライトリングといえばパイロットウォッチとしての知名度が高い印象であるが、これは創業者である「レオン・ブライトリング」が1903年にライト兄弟が動力により飛行する“飛行機”を発明したあと急速に発達した航空機に興味をもったことからパイロット用の懐中型クロノグラフ時計を製作したことで、ブライトリングの特徴でもあるパイロットウォッチとしての礎を確立したこととなる。
ブライトリングの確立したパイロットウォッチとしての地位は企業理念でもある「プロのための計器」「時計ではなく(航空用)計器である」ことをモットーとし、現代においてもパイロット向けの腕時計として「エアロスペース」「エマージェンシー」、企業理念を取り入れ「航空用計算尺」搭載の「ナビタイマー」「クロノマット」などが販売されており、趣味性が強く男心をくすぐるデザインが多いのが魅力であるといえ、男心をくすぐる漫画として著名な「銀河鉄道999」の作者である「松本零士」が、若かりし頃最初に買った腕時計はナビタイマーだったらしい。
また面白い時計として緊急信号発信装置を内蔵したモデル「エマージェンシー Emergency 」があり、手動型航空機用救命無線機を内蔵し、ケースの右下にある保護キャップのネジを外しアンテナを伸ばすことによって国際航空遭難信号を48時間発信する機能を持つ。
航空法第24条に定める航空従事者かつ電波法第40条に定める無線従事者でなければ購入できないモデルであり、年1回電波法で定める定期検査をブライトリングで実施しなければならないが、パイロットウォッチメーカーとしての徹底ぶりは流石といえるかもしれない。
それ以外にもブライトリングは航空業界へのスポンサー活動を積極的に行っており、気球による無着陸世界一周を初めて成功させたブライトリング オービター 3(気球)やジェットエンジンを乗せた翼を背負って飛行する「イブ・ロッシー」への活動支援や、テレビCMなどでも見たことがあるであろうレッドブル主催のエアレースや曲芸飛行などの参加を積極的に実施している。
上記のように、パイロットウォッチメーカーとしての地位を確立し、代表モデルとして
「ナビタイマー」「クロノマット」シリーズなどが有名ではあるが、今回紹介するダイバーズウォッチであるブライトリング「スーパーオーシャン」シリーズの発表は、以外にも早い1957年で、同年にはオメガからも「シーマスター」「スピードマスター」が登場したほか、ロレックスからも「GMTマスター」が発表されるなど、現代にもつながる著名なモデルが確立された年でもある。
ライトリング スーパーオーシャン ヘリテージ B20 オートマチック 44 AB2030121B1A1
発売当初から200m防水を備えた時計としてダイビング愛好家に支持され続け進化を続けたスーパーオーシャンは、発表から50年の歳月を経た2007年にオリジナルモデルに回顧したスーパーオーシャン「ヘリテージ」シリーズの発表へと至る。
現代風な「スーパーオーシャン」シリーズとは異なり、レトロにしてヴィンテージテイストが感じられる「ヘリテージ」シリーズの発表当初は、初期モデルデザインでも採用された「ミラネーゼブレス」までをも採用し、当時はどこの時計会社も採用していなかったため斬新なデザインから人気を博し、それから他社も採用することとなるなど、レトロ派に向けたダイバーズウォッチとしてデビュー当時から人気の高いモデルとなった。
ミラネーゼブレスは1960年代に流行し、細い金属が編み込んで作られた構造から、なめらかで心地よい肌触りが特徴であり通気性や耐久性も高く、スポーツモデルでありながらドレッシーな雰囲気を感じさせることも「ヘリテージ」シリーズの一つの魅力であるともいえる。
時代を超えた外観以外にも、ムーブメントにはブライトリング 自社開発の Cal.B20 を採用し、Cal.B20 はチュードルのキャリバー MT 5612 をベースとし、ブライトリング独自チューニングが施されパワーリザーブは70時間となっており、ムーブメントの開発・生産においては2つの著名ブランドの協力関係が見られ、両社は現状、機械式ムーブメントのノウハウを共有している。
防水性においてダイバーズウォッチでは「200m防水(20気圧防水)」以上が一般的な数値であるが、「スーパーオーシャン」はモデルごとに「200m防水」から「2000m防水」まで網羅しており、ブライトリングの技術力の高さとダイバーズウォッチとしての性能も信頼に値するといえる。
文字盤においては「ツヤ消し仕上げ」を採用し、無反射コーティングのサファイアクリスタルガラスで彩光の乱反射を防ぐこととなり視認性が高いことも特徴といえ、ダイバーズウォッチとしての機能としても、酸素残量の目安にするためベゼルが有効となるわけだが、逆回転防止のベゼルであることはもちろん、潜水時に着用するであろうグローブ装着時でも滑らずに操作しやすいようベゼル外周には120の細かい凹凸があり、潜水時であっても細かな調整を可能としたこだわりも見てとれる。
スーパーオーシャンはダイビングやマリンスポーツの初期の歴史を支えたモデルのひとつであり、スーパーオーシャン ヘリテージ はそのモデルコンセプトとデザインをインスパイヤしており、モダンモデルでありながらレトロな雰囲気を味わえる時計であるものの、ダイバーズウォッチとしての機能は優秀であり、この記事で“空”を制したブライトリングのもうひとつのアドベンチャー”海”への想いを知ってもらえれば幸いである。